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「募集は出しているのに、応募が来ない」を採る層から見直しませんか

シンミドウは埼玉県さいたま市を拠点に、地域の中小企業の採用を支援しています。新卒・中途だけでなく、高卒・パート・シニア・外国人材まで含めた採用計画の設計から、求人票の書き直し・選考設計・受け入れ体制づくりまで一貫してご相談いただけます。「どの層を狙うべきかの整理だけ」でも構いません。

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この記事の結論

パート採用でいちばん効くのは時給の上乗せではなく、働ける時間に仕事のほうを合わせることです。「何時から何時まで働けますか」ではなく「この時間帯の、この工程をお願いします」と提示できる会社に応募が集まります。

本記事でわかること

  • 募集前に決めるべきは3つ:切り出す業務/必要な時間帯と人数/時給の上限(採算から逆算する)
  • 埼玉県の最低賃金は2026年10月1日から時間額1,196円(引き上げ額55円)。募集中の求人も改定日以降は改定額を下回れない
  • 社会保険の適用拡大が段階的に進んでおり、「扶養の範囲で」という前提そのものが変わりつつある
  • 定着を決めるのは時給よりも、シフトの融通・急な休みへの対応・仕事の教わりやすさ

募集を出す前に決めておく3つのこと

パート募集がうまくいかない会社の多くは、「人手が足りないから誰か来てほしい」という状態のまま求人を出しています。しかしパートで働く人の多くは、働ける時間帯や日数に制約があります。その制約に会社側が合わせられるかどうかが、応募数を大きく左右します。

そのために、まず切り出す業務を決めます。正社員がやっている仕事のうち、手順が決まっていて、その時間帯だけで完結し、引き継ぎが要らないものを探します。「正社員の仕事を薄めたもの」ではなく、「その人が来ている時間で完結する仕事」として切り出せるかが分かれ目です。

次に、必要な時間帯と人数を決めます。1日の業務量を時間ごとに並べると、忙しい時間帯が偏っていることがほとんどです。ここに人を配置する形にすると、短時間勤務でも会社側の効果が出ます。最後に時給の上限を決めます。近隣の相場ではなく、その業務が生む粗利から逆算して「いくらまでなら出せるか」を先に決めておくと、交渉の場で判断がぶれません。

募集を出す前に決めておく3つのこと

募集前に文書化しておく項目

  • 切り出す業務:手順が決まっていて、その時間帯で完結し、引き継ぎが要らないもの
  • 必要な時間帯と人数:1日の業務量を時間ごとに並べ、山になっている時間帯を特定する
  • 時給の上限:近隣の相場ではなく、その業務の粗利から逆算する
  • 教える人と教える期間:初日から3日間、誰がどこまで教えるか
  • 急な休みが出たときの代替:誰が埋めるのかを決めていないと、現場に不満が溜まる

パート採用の設計項目と、決めていない場合に起きること

決めること 決め方の目安 決めていないと起きること
切り出す業務 手順が決まっていて、その時間帯で完結し、引き継ぎが不要なもの 「なんでもやってもらう」状態になり、教える負担が現場に集中する
必要な時間帯と人数 1日の業務量を時間ごとに並べ、山になっている時間帯に配置する 人は増えたのに忙しい時間帯は変わらず、人件費だけ増える
時給の上限 近隣相場ではなく、その業務が生む粗利から逆算する 面接の場で時給交渉に応じてしまい、既存スタッフと逆転する
シフトの枠 「応相談」ではなく「9時〜13時」のように枠で示す 応募者が働けるか判断できず、比較対象から外れる
急な休みの代替 連絡の順番・応援できる人・代替できない場合の判断を決める 毎回その場しのぎになり、休む側も埋める側も気まずくなる
初日の担当者 指名制にする。3日間の到達目標もあわせて決める 初日に放置され、数日で来なくなる
見直しの時期 半年ごとの面談と、時給改定のタイミングを決める 不満が表に出ないまま、突然辞める

※ 時給・社会保険・労働条件に関する制度は改正が続いています。実際の運用にあたっては、最新の法令と所轄の労働局・年金事務所の案内をご確認ください。

時給の決め方|最低賃金と、募集中の求人の扱い

パート・アルバイトの時給を決めるうえで、最低賃金は出発点になります。埼玉県最低賃金は2026年10月1日から時間額1,196円に改定されます(現行1,141円から55円の引き上げ)。全国の目安額を上回る決定で、企業側の負担も相応に増えます。

注意が必要なのは、最低賃金は事業所の所在地の都道府県で適用され、適用の基準は給与の支払日ではなく実際に働いた日である点です。つまり10月1日以降の労働分から改定額以上を支払う必要があります。9月中に出した求人が10月以降も掲載され続ける場合、改定額を下回る時給の表示は問題になりますので、募集条件の見直しを忘れないでください。

また、最低賃金ぎりぎりで募集を出すと、翌年の改定でまた見直しが必要になります。毎年10月に改定される前提で、自社の時給テーブルに何円の余裕を持たせるかをあらかじめ決めておくと、毎年の対応が事務作業で済むようになります。

時給の決め方|最低賃金と、募集中の求人の扱い

時給を決めるときの実務

  • 改定日は労働日で判断する:支払日ではない。10月1日以降の勤務分から改定額以上にする
  • 掲載中の求人も見直す:改定前に出した求人が改定後も出ていると、条件が最低賃金を下回る
  • 改定に対する余裕幅を決めておく:最低賃金ぴったりで組むと毎年見直しに追われる
  • 既存スタッフとの逆転を確認する:新規募集の時給を上げると、勤続の長い人を下回ることがある
  • 時給以外の条件も比較材料になる:交通費・食事補助・シフトの融通は、時給50円の差より効くことがある

年収の壁と社会保険|「扶養の範囲で」の前提が変わりつつある

パート採用で必ず出てくるのが、いわゆる年収の壁の話です。税金がかかり始める水準、社会保険に加入する水準、配偶者の扶養から外れる水準がそれぞれ別にあり、働く側は「これ以上働くと手取りが減る」ことを警戒して勤務時間を調整します。年末に人手が足りなくなる原因の多くはここにあります。

近年、この前提は大きく動いています。税制面では基礎控除などの見直しが進み、所得税がかかり始める水準が引き上げられました。社会保険では、短時間労働者の適用範囲が段階的に広がっており、企業規模の要件は2027年10月から段階的に撤廃され、月額賃金の要件(いわゆる106万円の壁)についても撤廃が決まっています。最終的には「週20時間以上働くかどうか」が加入の主な基準になっていく方向です。

企業側として重要なのは、金額を暗記することではありません。制度は毎年のように変わるためです。むしろ「壁を意識して働く人が一定数いる」という前提でシフトを組めるか、そして社会保険に加入したうえで働く選択肢を提示できるかが問われます。詳しい仕組みは別記事で整理していますので、あわせてご覧ください。

年収の壁と社会保険|「扶養の範囲で」の前提が変わりつつある

会社側が押さえておくべき論点

  • 制度は動いている:税制の見直しと社会保険の適用拡大が並行して進んでいる。毎年、最新の内容を確認する
  • 社会保険の企業規模要件は2027年10月から段階的に撤廃され、最終的に規模を問わず適用される方向
  • 月額賃金の要件(106万円の壁)も撤廃が決まっている。撤廃後は週20時間以上が主な基準になる
  • 年末の勤務調整を前提にシフトを組む:11〜12月に稼働が落ちる想定で人員計画を立てる
  • 「社会保険に入って働く」選択肢も提示する:手取りだけでなく将来の年金・傷病手当まで含めて説明できるようにする

シフトと就業条件|応募を左右するのは時給よりここ

求人サイトで比較されるとき、パート求人はまず時給で並びます。しかし実際に応募するかどうかを決めているのは、多くの場合シフトの条件です。「週3日から」「1日4時間から」「土日どちらか休める」といった条件が明示されていない求人は、自分が働けるかどうかを判断できないため、比較の対象から外れます。

特に効くのが、時間帯を固定して示すことです。「9時〜18時のうち応相談」より「9時〜13時」「13時〜17時」と枠で示すほうが、子どもの送り迎えや家族の予定と照らして判断できるため、応募につながります。会社側にとっても、枠で募集するほうが人員配置を組みやすくなります。

加えて、急な休みへの対応方針を先に決めておくことが重要です。家庭の事情で当日に休む可能性は誰にでもあります。そのときに「誰が埋めるのか」が決まっていないと、毎回その場しのぎになり、休んだ本人も、埋めた同僚も気まずくなります。この気まずさが、パート人材の離職理由として非常に多いものです。

シフトと就業条件|応募を左右するのは時給よりここ

求人票と運用で明示すべき条件

  • 時間帯は枠で示す:「応相談」より「9時〜13時」「13時〜17時」のほうが応募につながる
  • 最低の勤務日数・時間を書く:「週3日から」「1日4時間から」がないと判断できない
  • 土日・繁忙期の扱いを書く:後から発覚するとトラブルになる
  • 急な休みの代替ルールを決める:グループでの連絡・応援の順番・代替できない場合の判断
  • シフト希望の提出期限と確定日を決める:直前まで決まらない運用は、それだけで離職理由になる

契約と待遇|正社員との差をどう説明するか

パート・有期契約で人を雇うとき、避けて通れないのが待遇差の説明です。同一労働同一賃金のルールでは、正社員とパートの間で不合理な待遇差を設けることが禁止されており、働く人から求められた場合には、待遇差の内容と理由を説明する義務があります。

ここで問われるのは、待遇を同じにすることではありません。職務の内容、責任の範囲、配置転換の有無などに違いがあるなら、その違いに応じた待遇差は認められます。問題になるのは、違いを説明できないまま「パートだから」という理由で差をつけている状態です。たとえば同じ業務をしているのに通勤手当や食事補助が出ない、慶弔休暇が使えないといった扱いは、説明が難しくなります。

あわせて、労働条件の明示も確実に行ってください。契約期間、更新の有無と判断基準、就業場所と業務の変更範囲などは、書面で示す必要があります。口頭の約束のまま進めると、更新時や契約終了時にトラブルになりやすい部分です。

契約と待遇|正社員との差をどう説明するか

契約時に確認する項目

  • 労働条件を書面で明示する:契約期間・更新の有無と判断基準・就業場所と業務の変更範囲
  • 待遇差の理由を説明できるようにする:職務内容・責任・配置転換の有無のどこが違うのかを整理する
  • 手当や福利厚生の適用範囲を見直す:通勤手当・食事補助・慶弔休暇の扱いは特に指摘されやすい
  • 有給休暇は要件を満たせばパートにも付与される:比例付与の日数を正しく管理する
  • 無期転換ルール:契約更新が通算5年を超えると、本人の申込みで無期契約に転換できる

定着させる|最初の3日と、半年後の面談

パート人材の離職は、入社直後に集中する傾向があります。初日に誰も教える人がおらず、何をしていいか分からないまま時間が過ぎる。この体験があると、数日で来なくなることは珍しくありません。採用の手間を考えれば、最初の3日に人を付けるコストのほうがはるかに小さく済みます。

具体的には、初日の担当者を指名し、3日間で何をできるようにするかを決めておきます。更衣室やロッカーの場所、休憩の取り方、分からないときに誰に聞けばいいのかといった生活面の説明も、本人にとっては業務の説明と同じくらい重要です。

そして半年を目安に、一度きちんと話す時間を取ってください。パート社員は正社員に比べて面談の機会が少なく、困りごとが表に出ないまま辞める決断に至りやすいためです。シフトの希望が変わっていないか、任せる業務を広げてよいか、時給の見直し時期はいつかを確認するだけでも、続ける理由になります。

定着のためにやること

  • 初日の担当者を指名する:「手が空いている人が教える」は、誰も教えないのと同じ
  • 3日間の到達目標を決める:何ができるようになれば独り立ちなのかを本人にも伝える
  • 生活面の説明を先にする:休憩・更衣室・持ち物・質問先。ここが分からないと業務に集中できない
  • 半年を目安に面談する:シフト希望の変化・任せる範囲の拡大・時給見直しの時期を確認する
  • キャリアアップ助成金の活用も検討する:正社員化やパートの処遇改善に使える制度がある

まとめ

  • パート採用は「正社員の代わり」ではなく、時間帯で完結する仕事を切り出す設計から始める
  • 埼玉県の最低賃金は2026年10月1日から1,196円。改定の基準は支払日ではなく労働日
  • 掲載中の求人も改定日をまたぐなら条件を見直す
  • 社会保険の適用拡大が段階的に進行中。企業規模要件は2027年10月から段階的に撤廃、賃金要件も撤廃が決まっている
  • 応募を左右するのは時給よりもシフトの示し方。「応相談」ではなく時間帯の枠で書く
  • 定着を決めるのは最初の3日半年後の面談。どちらも採用コストより安く済む

パート・アルバイトの募集は、条件の書き方ひとつで応募数が変わります。求人票の見直しや、業務の切り出しからの設計は、シンミドウでもご相談を承っています。

著者:株式会社シンミドウ 採用支援チーム

株式会社シンミドウは埼玉県さいたま市に本社を置き、県内を中心とした中小企業の採用と人材育成を支援しています。新卒採用のコンサルティング、採用サイト・採用動画の制作、合同説明会の運営、社員研修までを自社で手がけており、本連載は日々の支援のなかで実際にご相談の多いテーマを整理したものです。なお本記事は2026年9月時点で公表されている制度情報をもとに構成しています。法令・助成金・採用スケジュールは改正や年度ごとの変更があるため、実際の運用にあたっては厚生労働省・ハローワーク・所轄の労働局など公式の情報で最新の内容を必ずご確認ください。

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